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zoom RSS レター # 236 10月26日(水) もしも……の話

<<   作成日時 : 2011/10/26 21:37   >>

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 いつも通りの家族の馬鹿話ではなく極めて私事の話となるが、実は、先週、死にかけた。
 「もしかしたら、このまま……」と意識が遠くなったのは、ビーチバレーの試合後のことだった。

 その日は暑かった。まだ春とはいえ気温が急に33℃まで上がり、節電のためオフィスの冷房も使わず、水分補給を意識することもないまま、バタバタと忙しく1日を過ごしていた。そしてビーチバレーに向かうために車を取りに一度帰宅した際に乗ったバスは、アデレードでは最近少なくなってきているはずの窓開閉不可能的自然暖房タイプのバス。乗客の暑い息と脂汗が漂う車内は、まさに蒸し風呂だった。
 「運転手は大丈夫だろうか」と過ぎ去るバスを横目にバス停から7分ほど歩いて家に到着。すぐさま着替えて家を飛び出した。ヒヨがピクニック気分の涼しい格好をして、砂遊びのためについてきた。ビーチバレーへの会場へと。

 ビーチバレーコートの近くに車を停めることができなかったため、歩いて3分くらいの少し離れたところに駐車。コートに着いて少し練習をするとすぐに試合が始まった。
 今回は春のリーグ戦の3位決定戦。レギュラーシーズンは無敗のダントツ1位で終わったものの、日本のプロ野球でいう“クライマックスシリーズ”第一戦に先週敗れ、敢え無く3位決定戦に回されたのだった。この日も負けたらまさかの4位。“暗いMAX”だけは避けようと気合いだけは入っていたが、何と先週に引き続きメンバーが1人欠席。相手よりも1人少ない3人での不利な戦いの中、善戦するも最後には力つきてしまった。相手の体格の良いヤングオージー4人衆でさえ肩で息をしていた中、我が日本チームの3人はみな1セット目の途中からフラフラとなりながらも頑張った、があと一歩及ばなかったのだった。

 終わった後、急に息苦しさを感じ、座りこんだまま口もきけずに動けなくなくってしまったのはチーム最年長の父。悔しさのせいではない。きっと水分不足が祟ったのだろう。過去にも暑い中でのマラソンの後など、似たような状態になったことはあったが、今回はちょっと長い。
 「まずい、もしかしたら、このまま……」、「キューキューシャ?」などと、アイスを夢中に食べているヒヨをぼんやり視界に入れながら、しばらく思考が停まっていったのだった。(試合直後にヒヨにアイスをせがまれて最初はダメと1回言ったが、その後口を聞けなくなってしまい、ヒヨに再びダメ押しで「買ってきていい?」と聞かれたのでうなだれるように思わず首を縦に振ってしまった……。ヒヨにはラッキーな1日のクライマックスとなった。)

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              三途の川はこんなとこ?

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              三途の滝で忍者修行?


 チームメイトが飲み物を買ってきてくれたり、ヒヨと一緒に車をとってきてくれたりと助けてくれたおかげで、20分程度で身体も落ち着き始め、最後は自分で車を運転して帰ることができた。家に着いたときにはもう大丈夫になっていたが、念のためビールはやめておいた。暑い日中には「今日のビールはうまいぞ」と喉から手が出るほど心待ちにしていたこんな日に限って、皮肉にも久しぶりの休肝日となったのだった。

 意識が遠のきそうになっていたときから1時間後には普段通りの家での生活となったが、心の中はいつもと少し違った。「人間いつどうなるかわからない。後悔しないように生きよう」。続けてこうも思った。「遺言、書いておく?」

 こちらでは遺言を書くことは結構一般的なようだ。当然書いた後に色々と状況は変わってくるので、遺言のアップデートも大事だという。
 とはいってもいきなり「さあ、書くぞ」とばかりに構えるのも抵抗があったので、先ずは頭の中でぼんやり考えてみた。そして父は家族にとってどんな位置づけなのか確かめるべく、何気なくヒヨに聞いてみた。
 「もし、パパが死んだらどうする?」

 8歳になりドンドン“自分流”が強くなり、これまでのようにいつでもどこでも親の言う通りに動かず、憎まれ口を叩くようになってきたヒヨだが、こんなことを言った。
 「そんなのダメ。そしたら自分も殺す」
 「……、それを言うなら『私も死ぬ』だろうが…」
 でも、まあいい。日本語の問題には目をつむって、君のその気持ちには感謝するぞ。

 怖いものみたさにもう一歩突っ込んでみた。
 「なんで、パパが死ぬとダメなの?」
 「お金が入らなくなっちゃう」
 「……、カ、カ、カネ目当てだったのか…」

 さらにもう一歩。
 「お金だったらパパが死んだあとでも大丈夫だよ。本当は一杯隠してあるからパパが死んだらそれを使えばいい(もちろん、大ウソである)」
 「えっ、本当に?」
 「本当だよ。遺言にちゃんと隠した場所を書いておくから」
 「……、でもダメ。大事なのはお金じゃないんだよ。人なんだよ!」

 合格!
 ヒヨ、見事な答えだ。
 キミの人生この先、その言葉を忘れるなよ。

 つまり、こういうことである。
 「我が家には相続できるほどのプラスの財産はない。でも大切なのはお金じゃない。皆、お互いのことを思いながら後悔しないように愉しく生きよう!」

 気がつけば、遺言の出来上がりである……。

















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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ヒヨちゃんの答えが正解です。

ただし、家族が困らないくらいの遺産は隠してありますよ。ご安心下さい。
遺言には必ず私の連絡先をご記入下さいね。


さすがヒヨちゃん
2011/10/28 00:21
あれ?コメントの仕方間違えた。

遺産の隠し場所は私が知っていますのでご安心下さいませ。
須佐
2011/10/28 00:23
遺産、どこですかあああ。あのトランポリンの下ですかああ?でも、本当に人生何があるかわからない。遺言も、私達のは書きかけのまま まだ弁護士さんとこ持って行ってなかったなあ‥
まっしっかり、水分取りましょう。
れいこ
2011/10/28 21:34
さすが、須佐さん!
そ、そ、その件、くれぐれもご内密に…。
それと、須佐さんは私よりも長生きしてくださいね!!
ちぢちち
2011/10/30 20:10
れいこさん、

あのトランポリンそのものが遺産のようなものです。。。今度遺言の書き方、教えてください!
ちぢちち
2011/10/30 20:15

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